用賀HARU治療院の鍼灸師が観た映画～アド・アストラ～

2020.01.15

 

アド・アストラ

 

 

９月下旬、映画❝アド・アストラ❞を観てきました。

 

ブラッド・ピット、トミー・リー・ジョーンズが出演しています。

 

SF超大作でありながら、内省的なドキュメンタリーのような、派手なようで実は地味な映画でした。

 

 

地球から月を経由し、火星で父にメッセージを送り、海王星に向かう話ですが、SFとはいえ、近未来予想図のような、あ～宇宙もこんな感じになっちゃうんだなと感じさせてくれました。

 

特に関心したのが、月のシーンでした。

 

未来の話ですが、月ではまだ社会システム、未開の部分が大きいので、山賊のような（月賊！？）奴らが出てきて、近代前のような成熟されてない荒の多い地になっていました。（宇宙服を着ている以外なんら変わりがないどころか、社会が退化している）

 

ここらにも人間の愚かさが描かれていました。

 

そして、思春期に父が海王星で姿を消したことが、多大な影響があると思われますが、主人公ロイは、常に異常なほど冷静沈着で、人と距離を取り、いつしか妻ともうまくいかず、自分しか信じられない生き方をしていました。

 

２０世紀までは無人で平和だった月も、人が渡り、今では覇権争いや略奪などが横行しているのを見た主人公は、さらに自分の殻に閉じこもりそうになりますが、そんな息つく間もなく展開していきます。

 

人としては愛情、情が欠如している主人公は、宇宙飛行士としては超一流なので、危機を乗り越えていきます。

 

父は海王星で亡くなり英雄として知られていましたが、実は生きている事を知り、火星から海王星に、たった一人で向かいます。

 

 

その間の宇宙は、永遠に広がる無の世界。

 

そこで、彼は自分自身と、父と向き合います。

 

ブラッド・ピットの演技が絶賛されていますが、その葛藤ぶりが観ている者を揺さぶります。

 

ある者は子供との関係、またある者は父との関係、もしくは人との関係など、観ている者自身にも問いかけてくる感じで。

 

 

私も少し苦しさを感じました。

 

宇宙空間は孤独です。

 

テレビ、ネット、スマホはなく、そして人がいません。

 

今の依存している人達は耐えられるでしょうか！？

 

限りない無に・・・

 

 

私の好きな漫画、海賊コブラでは、そんな限りない無に放り出された人間は発狂して死んでいく中で、コブラは五感を外界と遮断して心臓の鼓動に集中して正気を保って、救出されるのを待ちました。（コブラは超人ですから（笑））

 

 

宇宙空間の孤独は、異常に冷静沈着なあの主人公でさえ、自分を見失いそうになるので、宇宙はSF映画の軽い感じのイメージではなく、恐い所だなあ～と、ゼロ・グラビィティ以来に思いました。

 

しかし、その内なる恐怖、自分自身と向き合ったことで、父と正面から向か会えることができて、今後の生き方に変化をもたらしたのだと思いました。

 

全体的に暗い感じでしたが、最後はひとすじの光を見て終えたので、良かったです。

 

この映画は例えると、不快な気持ちではないですが、鍼治療の響きの❝ズン❞というような重痛いような、うまくみんな隠している❝痛い所を❞突いてくるような、深くてみなが気付かぬふりをしているような所を、鍼で刺激されているような映画でした❝チク・ズン❞。

 

隠していて深い所だけど、❝ここが悪いぞ～❞

 

と顕わにさせられ指摘されているようでした。

 

まさしく鍼治療のように終えた時、けだるいような感覚がありました。

 

ですから、鍼灸治療のように好き嫌いがあると思います（笑）

 

【君は、父や身近な人とどう向き合って生きているのか？】

 

と問いかけてくるような映画でした。

 

 

アド・アストラ②日本科学未来館にて

 

 

 

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