用賀HARU治療院の鍼灸師が、読んで感動した本～鹿の王～

2016.07.22

 

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こんにちは。先日、上橋菜穂子作、「鹿の王」を読み切りました。

 

上下巻の１０００ページ以上の大作です。

 

通勤時に、読みました。

 

この重いハードカバーの本（と他二冊）を持っての、浦和～用賀の往復に耐えました。

 

これを期に、電子書籍への移行を真面目に考えました・・・

 

しかし、いつの間にか、それらの本が入ったトートバックを重りに、❝アームカール❞気味に歩いていました。

 

 

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話は戻って、上橋菜穂子さんは、児童文学界ではすでに有名な方で、世界でも評価の高い方です。

 

この前の春から、❝守り人❞シリーズがNHKでドラマが始まりました。

 

そして、この「鹿の王」は、２０１５年、本屋大賞に選ばれました。

 

本屋大賞は、本をたくさん読んでいる一般の人達が選んでいるので、だいたいはずれがありません（笑）。

 

また、色々な人に支持される優れた作品と言う事になるのです。

 

 

今回の作品は、今までの❝守り人❞　❝獣の奏者❞シリーズとは、少し違う大人向けの話という感想を持ちました。

 

前者の作風は、子供から大人まで楽しめて、話の面白さ、展開がたくさんあって、ダイナミックに物語が展開していく感じがしますが、❝鹿の王❞は、それほど展開がなく、その代わりに病とは何か、生死観など、哲学的な感じが今までより、強く描かれていた気がします。

 

医療従事者、医療の端くれの私としては、とても興味深く読みました。

 

そして、女性が主役な事が多かったですが、今回は男性という所も新鮮でした。

 

題名にもありますが、死に場を探し続けている者が、生き残ってしまい【生き残った者】、生きながら苦しんでいるけど、ふとした出会い、家族ができて、生きがいをみつけていく。

 

しかし、その暖かな場所から旅立たなければいけない・・・【還って行く者】、その葛藤が、痛かったです。

 

下巻序盤で、これを一番言いたかったのでは！？と、思わせる❝鹿の王❞のエピソード。

 

鹿の王とは、群れのリーダーを言うのではない。

 

数十匹いる狼に追われている時に、遅れそうになった子供や群れを救うために、１頭だけ群れから離れ、数十匹いる狼の前に、一人立ちはだかり、踊りを舞うように挑発する者がいる・・・

 

しかも、その者は、リーダー格でなく、働き盛りを過ぎた少し年老いた角の取れた者だという。

 

 

自らを犠牲にして、群れを救う者を、「鹿の王」と呼ぶ・・・

 

 

それだけではなく、さすが、女性の視点、上橋菜穂子さんの視点だなあ～思ったのが、

 

その者を、けっして英雄などと持ち上げるなっ、自分がなろうと思うなっ、❝逃げろ！❞　と主役の父が言います。

 

主役も、今なら分かると言っていましたが、今の私にも分かります（笑）

 

真田幸村のように、信念を通しパッと散ったり、自らが犠牲になるというのが日本人は好きで、英雄視しがちですが、近しい残された者から見たら、惨めでも、生きて帰って来て欲しいものです。

 

 

そして、もう一人の主役の医術師の悩み、生物は生きる事だけじゃなく、死ぬこともまた生物の身体には、始めから仕組まれているという動かしがたい真実・・・

 

しかし、その哀しみを背負って、それでも小さな命を助ける・・・そこに至る決断。

 

共感いたしました。

 

 

長編であり、馴染みのずらい地名や名前が多いので、気長に読む事をおすすめします（笑）

 

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